かながわの漁港をめぐる

平塚漁港

真夜中の海で「追駈」の魚を獲る赤い胴長の勇者たち

横浜魚市場で仕入れる料理人に人気の「平塚の朝どれ魚」、別名「追駈」の秘密を探った。
午前1時、定置網漁船の川長三晃丸が出港。通常、漁師が獲った魚は翌日のセリ向けに各地の市場に運ばれる。ところが平塚は夜中に獲って朝6時に横浜魚市場でセリ、1日早い。
乗組員は8人。船が漁場に着き、海をライトで照らすとグッと緊張が走る。漁師たちは30分がかりでじりじりと漁網をたぐり、船際に引き寄せる。中で泳ぐ魚たちを大きなタモですくい獲っては甲板下の水槽に。漁師たちの俊敏さに目を見張る。船長の磯崎晴一さんは
「水槽には5℃の冷海水と氷を入れています。魚は瞬時に動かなくなって傷がつきません」。
漁港に戻ると獲物は荷捌き場へ。アジにサバ、大きなタイにヒラメ。魚種やサイズ別に手早く仕分して、氷と冷海水と共に発泡スチロール箱に詰めて準備完了! 「魚には極力触らないのがコツです。人間の体温で傷んでしまうので」と、発送を担当する平塚魚市場取締役の土方敬三さん。魚に関わる全員の迅速さと心配りが「平塚の朝どれ魚」のおいしさを支えている。
朝5時半、横浜魚市場にトラック到着、セリ開始。やがて市場の仲卸店にさっきまで平塚の海で泳いでいた魚が並び、料理人が訪れる。

取材・文=眞鍋じゅんこ(ノンフィクションライター・お魚かたりべ)
撮影=鴇田康則(写真家)

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