かながわの漁港をめぐる

小柴漁港

謎の生物アナゴを追って30余年、創意工夫の漁師が捕らえる絶品の味!

水辺の行楽地「横浜八景島シーパラダイス」に「海の公園」。その狭間に小柴漁港はある。
午前3時40分、齋田芳之さんの第六金亀丸が出航。時折アナゴ水産研究者とも活動を共にするベテラン漁師だ。この生き物、まだ謎も多い。南の海で生まれて黒潮伝いに北上し、日本各地の入り江に棲みつくという。東京湾もそのひとつで、栄養豊富だから脂の乗った柔らかな身に育つ。だが国内で卵を持つアナゴは不思議と見られない。繁殖は南の海限定らしい。
漁具は塩ビパイプに漏斗状のフタ。餌目当てに入ったアナゴが逃げられない仕組みだが、齋田さんは水抜き穴を大きめに作る。「穴から逃げた小アナゴは来年獲ります」。巨大アナゴも入口を破って逃げてしまうが「無事に産卵しに帰れよ、と餌をやる心境です」と笑う。資源保護に敏感、漁具も工夫に満ちている。
さてあなご漁だ。ロープで繋いだあなご筒は前日に海底に沈めておく。その数600本。船上に引き上げては相棒の窪田泰介さんがフタを外す。獲物はニョロリと台に飛び出すと甲板下の水槽に流れ落ちる独自の仕組みだ。体温の高い人間に極力触れず、アナゴは生きたまま横浜魚市場に出荷。寿司や天ぷらに欠かせない良質なアナゴとして取引されるのだ。

取材・文/眞鍋じゅんこ(ノンフィクションライター・お魚かたりべ)
撮影/鴇田康則(写真家)

「かながわの漁港をめぐる」をPDFで見る

ページの先頭へ