かながわの漁港をめぐる

松輪漁港

腕きき1本釣り漁師と繊細な出荷作業が最高級品「松輪サバ」を生み出す

「松輪は精鋭の釣り師集団」と聞いたことがある。実際20隻もの漁船が、日々大海原を駆け巡る。彼らの得意技は主にサバ漁だ。
5月頃、相模湾の江の島沖に始まり、三浦半島に沿ってサバを追う。松輪サバ釣り組合役員の草間操さんは「夏近くにサバは東京湾に入ります。運動量が少なく餌がたっぷりだから身が柔らかい。脂が乗ってうまいですよ」。
松輪では鮮度と品質の良いサバを出荷する技が群を抜いている。漁師は船上でミンチにしたイワシを撒き餌にサバを一尾づつ丁寧に釣る。手で触らずヤハズというカギ形金具で針を外して氷入り水槽に放し、すぐフタをする。
漁協職員の勝俣さんは、「極力触れずにサバの表面のぬめりを落とさないことが、新鮮さを保つコツ。ブランド化して4〜5年、漁も出荷も手抜きはできません」と笑う。氷の効き目が悪いだけでサバの色は変わってしまう。
漁師たちが水揚げするサバを、職員は手早く仕分けして氷海水と共にビニール入り発泡スチロール箱で密閉する。漁協がまとめて横浜魚市場など各地の市場に直接出荷することで、松輪ブランドの品質を守るのだ。松輪のサバはピンっとかっこよくて味も濃い。漁港の皆の心意気を一身に担うかのようだ。

取材・文/眞鍋じゅんこ(ノンフィクションライター・お魚かたりべ)
撮影/鴇田康則(写真家)


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