かながわの漁港をめぐる

長井水産

神奈川近海で一本釣り漁師が獲る鮮度と品質が勝負のカツオ

マグロで有名な三崎にはカツオも水揚げされる。ある朝の5時頃、長井水産の嘉山定晃さんは海氷水入りタンクを岸壁に並べ漁船を待つ。6時にカツオ漁船が入港、水揚げ開始。船倉から甲板、岸壁へと10名の乗組員がバケツリレー式にカツオを数尾ずつ運ぶ。最後に嘉山さんがサイズ別にタンクに選り分ける。これを数千本分、ていねいで地道な作業だ。
カツオ漁船の漁労長によれば「3月に九州、5〜8月は東海や伊豆諸島、秋は東北か九州でカツオを追っては最寄りの漁港に水揚げします」。19トンの小型船の身上は「鮮度」だ。昨日の漁場は青ヶ島の南、午後から全速力で三崎を目指し、到着は今。そして餌の生きたカタクチイワシを仕入れてすぐ漁場へ。この生活を数ヶ月間、郷里に戻らず繰り返す。
大海原で魚群を見つけたら餌と水を撒いて、乗組員たちが一斉に釣り開始。イワシの群れと勘違いしたカツオが次々に釣られ、船倉の0.3℃の冷海水で冷やされる。1本釣り漁法で鮮度が保たれ質のよいカツオはこの後、急いで長井水産に持ち帰り箱詰めして出荷される。 水揚げ後、嘉山さんは漁船に三浦半島産カボチャを差し入れた。新鮮な野菜はご馳走だ。命がけで獲った魚を港で受け取る両者の真剣勝負の末、小さなふれあいが微笑ましかった。

取材・文/眞鍋じゅんこ(ノンフィクションライター・お魚かたりべ)
撮影/鴇田康則(写真家)


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