かながわの漁港をめぐる

横須賀市東部漁港

東京湾に浮かぶ猿島は恵みの漁場で7代目の父と息子はタコツボ漁

米軍基地を北に見晴らす海沿いの漁港から、横須賀市東部漁協の組合員が毎朝出航する。
ある日、柴崎弥春さん親子と船でタコ漁に。現代版のタコツボは合成樹脂製の四角い箱。餌のカニを入れて数日間海底に沈め、タコが餌を食うとフタが閉まる仕組みだ。港を出てじきに漁開始。柴崎さんは「沖の猿島から岸まで続く長細い根の上に仕掛けてあります」。根とは岩礁のことで海藻や生き物が多いからタコも餌を求めて棲み着いているのだ。
父がロープに結びつけたタコツボを次々に上げ、息子の好郁さんがフタを開ける。
タコだ!「逃げ足早いですよ。床に貼り付いたら吸盤が強くて離れないし」と好郁さんは笑いながら、タコツボの口に網袋を広げる。獲物は網袋にニュルリと落ち、甲板の水槽に収められる。カニも自分たちで海岸に捕りに行くと聞いて手間のかかる仕事だと思った。
水揚げ場に戻ると大水槽には仲間が獲ったタコの網袋がびっしり。多い日には500kgも獲れるそうだ。この辺は東京湾も入口に近くて潮の流れが良い上に、岩礁は餌も豊富。身が締まって旨いタコのほかにも、様々な漁具を使いこなして豊かな旬の魚を追い続ける。この浜の漁師たちは実に器用なのだ。

取材・文=眞鍋じゅんこ(ノンフィクションライター・お魚かたりべ)
撮影=鴇田康則(写真家)


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