魚市場ブログ
カンダイ(コブダイ)
2025年05月19日
5月の市場に「カンダイ(寒鯛)」が入荷されていました。
見た目はおとなしく、あの有名な“コブダイ”とは少し違うような…と思った方もいるかもしれません。
でも実は、カンダイはコブダイのこと。地方によって呼び名が違うだけで、同じ魚なんです。
では、なぜコブがないのか?それは、この魚の成長の仕組みに理由があります。コブダイは「雌性先熟(しせいせんじゅく)」と呼ばれる性転換をする魚で、若いうちはすべてメスとして生き、成長した一部の個体がオスに変わっていきます。オスになると頭に大きなコブができ、あのインパクトのある姿に変貌するのです。
5月に市場で見かけたカンダイは、まだ1~2キロ程度の若魚が中心で、まさに性転換前のメスの段階。だからコブがないんですね。春から初夏にかけては、産卵を終えた個体や回復期の魚が沿岸に現れることも多く、この時期に漁獲されることがあるのです。
見た目は地味でも、味は一級品。上品な白身はクセがなく、煮付けや塩焼き、鍋料理など幅広く楽しめます。特に皮付きの炙りは絶品で、皮の香ばしさと脂の甘みが堪能できます。